見つけたすごい本。
私は図書館を頻繁に利用する。今日もお世話になった。
そこでわたしはすごい本に出会った。内容が、ではなく、借りた人にしか決してわからないもの、に出会ったのだ。
本を開く。
まえがきを読み始める。なかなかおもしろそうと読み進めていくと、消えそうなボールペンの文字が目に入ってきた。
なんだ?
お世辞にも上手いと言えないその文字。ヒット、この本しかない。借りる!
大声で笑いたい気持ちを必死で抑え、急いで貸し出しを終了させて館をでるわたし。
「ひっーー」
何がヒットしたって、
「この本があなたの役に立てば幸いです。」
と締められた前書きに文章の横に、誰かがヨレヨレのボールペン文字で
「役に立ちませんでした。でもツッコミどころマンサイでした。」
と綴っておったのだ。
ななめに風に吹かれて流されたような文字は、おもしろさ度合いを倍増させている。
正直に言おう。その本は見出しだけ読んでも、たかぴしゃなでピント外れなものばかりだ。この人はインクがきれそうなペンでいろいろな個所にツッコミをいれているのだろうか??マンサイというからには多数は期待できる。
飛ばして読んだらツッコミを発見した時にワクワクが激減するだろう。
そうだ、移動の電車の中で読むことにしよう。
確かに、消えそうな文字にしないと図書館の人に見つかる可能性が高い。
おそらくその人は私のような人を待ちに待っていたのかもしれない。
そして、読み進んでいくと、わたしもこの作家の主張に矛盾を感じ始める。
書き込みさんのいわんとしていることが腑に落ちるようになり、ツッコミはいつ出て来るのかと期待しながら10分ほど。
きたーーー!
見つけてしまった。次は、おもむろに見出しツッコミである。
その見出しとは、
[有名人、著名人との恋愛、そして障害。]
ネクストツッコミは、著名人のよこにイコールマークを入れ
「じじい!!!」
という大胆な訂正である。
有名人、じじいとの恋愛?
うっ、もしやこの人は作者の知人ではなかろうかという推測まで入り始める。
ちょっとこわい。どんどん進んでいく。
おお、あった!!
結婚式を挙げ、ご祝儀をもらったら別れてはいけない。という文章に対し、
「オイオイ、」
と書いてある。ツッコミ流儀に忠実な投げかけではないか。
その後に、
「3回もらってんだろーオメエー。」
ひえーーー。どちらもすごいキャラであろう。
作者は、3回のご祝儀もらったということで結婚3回か。それを突っ込むお知り合い。
夜一人で発見しなくてよかった。
本はもう終盤。さすがにもうないと本を閉じようとした瞬間。
あった。締めツッコミ。
その人はカバーの内側の作者紹介の写真の上に、痛恨の一言を投入していたのだった。
「おにぎり顔」
ちなみに、作者は美人であった。